耕し手
丸木橋を渡る蝸牛
TMER
「売らなければ、まだ含み損。」
信心は厚い。備えは薄い。橋は長いのに、傘を持っていない。
武器
金を食う三つを、まとめてよけている。手数料、税金、そして売り買いで外すタイミングだ。何もしないことが、長期のリターンでは上位10%に入る打ち手だ。怠慢に見えて、これは見識だ。
死に方
「長期なら必ず上がる」には、言われていない主語がある。「米国株が、今日までのところ」だ。日経225は、1989年の高値から落ちて、元の水準に戻るまで三十四年かかった。歴史が保証するのは「今のところそうだった」までだ。「これからも同じ」を保証したことは、一度もない。
原型
アン・シャイバーアメリカ国税庁を退職した、一介の職員だった。5000ドルを2200万ドルにして、半世紀持ち続け、配当は再投資し、死ぬまで売らなかった。蝸牛たちの守護聖人だ。ただし伝記には脚注が二つある。年金が生活費を全部まかなっていたこと(橋の下に網があった)。独り身で、この金を急に必要とする者が誰もいなかったこと(橋の上に連れがいなかった)。彼女の五十年には条件がついていた。信仰は真似されるのに、条件表は誰も写さない。